理事長 森下 高治(帝塚山大学)
”2011年3月11日(金)”,未曾有の巨大地震が発生,大震災から7ヶ月を経過しました。
10月6日発表(警察庁)によると今なお不明者が3,926人,死者は15,821人を数えている。地震に加えて,原発災害による放射能の被爆,除染問題が福島を中心に人々の生活に大きな影響を与えている。一日でも早い原発からの不安,岩手,宮城を中心とした被災地域では安心できる生活が求められる。
震災以降,福島を訪れた時に50代の男性から,地震と原発災害さえなければ,本当に住みよい町であったと言う言葉が私自身,今も耳から離れない。
丁度一ヶ月前の初秋の9月10日と11日に,松本の信州大学人文学部で日本応用心理学会第78回大会(内藤哲雄大会委員長)が開催された。
二日目の11日に特別講演として”東日本大震災から学ぶ ━ 応用心理学への期待を込めて ━”のテーマで社会安全研究所の首藤由紀氏が14の新たな課題を提起された。14の課題全ては応用心理学徒に求められたものである。また,自主企画ワークショップにおいてもジャパンEAPシステムズの大林氏と明治学院大学の井上教授による「東日本大震災における勤労者のこころの支援を考える」が企画された。また,ポスター発表では災害に関して横浜国立大学大学院の大森氏,藤森教授,松下氏の「繰り返される自然災害と高齢者のPTSD-2000年三宅島雄山噴火から9年後の実態調査」が発表され,大震災の今後の問題として注目を集めた。
そのようななか学会の役割として,信州大学の第78回大会総会で大震災の実践,調査教育研究活動をスムーズに行うために助成金に対するカンパ(義援金)をお願いしたところ57,630円の寄付があり,端数分を補い60,000円の基金をもとに今年度予備費の一部を割り当て1テーマ最高10万円の助成金でもって3~4件のテーマに助成を行うことになりました。募金をされた皆様には,この場をお借りし御礼を申し上げます。
詳しくは,日本応用心理学会東日本大震災の実践,調査教育研究活動に対する助成について(募集)をご覧ください。
今回の助成は,被災地域への義援金の直接支援ではありませんが,私ども応用心理学会の会員が個人レベル,あるいは学会を通して危機的状況に対して少しでも動くことが出来ればと考えます。悲しみを共有することは完全には出来なくても,専門の立場からリスク管理,こころのケア,交通,看護・保健,医療活動,教育,福祉,ボランテイア活動に会員皆様が積極的に関わってくださることが,学会としての務めかと思います。肝心なことは,日本応用心理学会が,社会に貢献できることです。そのために,学会員が被災者の方々に援助の手を差しのべてほしいと切に希望致します。
問い合わせは,日本応用心理学会メールアドレス:jaap-post(at)bunken.co.jpまで。
※[(at)をアットマークに換えてご連絡ください]
最後に,日本応用心理学会の公開シンポジウムが来る11月12日(土)に日本体育大学世田谷キャンパスで開催されます。
テーマは,“まさか!”の応用心理学 ― 災害時はこうする ― で企画は麻布大学の田之内教授,司会は災害研究の第一人者横浜国立大学の藤森教授,シンポジストして第一線で活躍の心理学者(日本大学の伊坂准教授,東京富士大学の深澤教授,同志社大学の中谷内教授)を予定しています。奮って参加をしてくださればと思う次第です。
問い合わせは,tanouchi(at)azabu-u.ac.jp(麻布大学 田之内)まで。
※[(at)をアットマークに換えてご連絡ください]
当学会の常任理事であり広報委員長の藤森立男先生(横浜国立大学教授)が中心なって作成された「子どもたちの心のケア」(PDF版)を公開いたします。ご自由にご覧いただきご活用ください。なお,現地の要請に応じて日本応用心理学会としても震災対策に取り組んで参りたいと思います。