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7月, 2021:

2020年度 若手会員研究奨励賞

選考結果および選考経過

日本応用心理学会 常任理事
(学会活性・研究支援担当)
古屋 健

選考結果

2020年度若手会員研究奨励賞  該当なし

選考経過
 2020年度は,コロナ禍のために第87回応用心理学会大会が中止となり,通常の大会発表の機会が失われ,本学会独自の代替措置として「大会発表代替論文集」が発行されることになりました。そのため,通常の応募期間を後ろにずらして2021年3月15日を応募締切りとする変則的な募集となりました。その結果,1件の応募がありました。しかし,応募書類に不備があり,それ以後の審査は不可能と判断し,2020年度は「該当者なし」となりました。この選考結果は,2021年3月28日に開催(メール会議)された第6回常任理事会で審議され承認されました。
 「該当者なし」の判定は誠に残念ですが,来年度からは新しい体制となります。申請条件の緩和や,広報の工夫など,応募者の拡大に向けて建設的な見直しをする予定です。これからも,多くの若手会員の皆様のご支援とご協力をお願いいたします。

以上

ポスト・コロナを見据えて

 

理事長 古屋 健(ふるや たけし)
立正大学

 日本応用心理学会会員の皆様には,日頃より本学会活動に深いご理解とご協力を頂戴し,心より感謝申し上げます。さて,このたび多くの方のご推挙をいただき,思いがけず本学会第7期の理事長に選出されました。誠に身に余る光栄であるとともに,その責任の重さをひしひしと感じている次第です。何分にも微力な身で,会員の皆様方のお力添えなしには到底この重責を果たすことはできません。皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 さて,2020年は新型コロナウィルスの世界的な感染拡大という歴史的な出来事によって,多くの貴重な人命が失われるとともに,広範囲にわたる社会活動が深刻な影響を受け,それまで普通と思われた生活さえも根底から脅かされた異様な年となりました。会員の皆様の中にも,コロナ禍の中で進めなければならない日常業務への対応などに追われ,予定していた研究活動の遅滞や中断に苦労された方も多かったことと存じます。例にもれずその影響は本学会にも及び,学会にとってはきわめて重要な活動を自粛あるいは中止とせざるをえない状況となりました。特に,8月に予定されていた第87回大会が中止となったことは,本学会の歴史の中でも初めてのことであり,誠に痛恨の出来事でした。藤田前理事長のご英断により急遽学会発表の代替措置をとり,会員の皆様に研究発表の機会を最低限保障することで,かろうじて学会としての責務を果たすことはできました。しかし,大会の会場で繰り広げられる会員同士の活気あふれる交流の機会を持てなかったことは,大会開催の意義を改めて考え直す貴重な機会ともなりました。私が理事長に選出されたのも,まさにコロナ禍の最中のことでした。そして,2021年も春をすぎた頃,ようやく感染拡大防止の切り札としてウィルス摂取の動きが活発化したことで,かすかな希望の光が見えてきました。そして今,私どもが取り組むべき課題は,やむを得ず停滞を余儀なくされた学会活動を一日も早く復興することであると考えています。
 まず,最優先事項として,優れたアイデアマンであった藤田前理事長が着手された事業をしっかり継承していく所存です。ひとつは,学会設立85周年記念事業として企画された『応用心理学ハンドブック』(福村出版)の刊行です。総頁800頁,編著者は本学会の会員を中心とする300名という大作で,当初は2020年度中に刊行される予定でしたが,コロナ禍のため編集作業が遅れてしまい,藤田前理事長在任中の刊行はかないませんでした。現在,第87回大会の開催中の刊行を目指して急ピッチで作業が進められています。関係者の皆様には大変ご心配をおかけしましたが,あとしばらくお待ち下さい。そしてもうひとつは,学会設立100周年を視野に入れた学会誌編纂作業です。この企画の目玉は,藤田前理事長が自ら取り組まれている名誉会員へのインタビューです。本学会は日本心理学会と並ぶ長い歴史と伝統を持つ学会であり,応用心理学の分野で日本を代表する歴代の研究者の活躍の舞台となってきました。このような機会に,私たちの代までこの学会を発展し維持してきた先輩たちにインタビューして,直接目撃し経験されてきた応用心理学の歴史について貴重な記録を残しておくことは,われわれ世代の重要な責務であると考えます。この作業もコロナ禍のため一時中断しておりますが,間もなく,再開できるものと期待しております。
 また,ポスト・コロナを見据えて学会活動の活性化を図る必要があります。ひとつは1995年から導入された認定「応用心理士」制度の活用と発展です。「応用心理士」資格認定制度がはじまってから既に25年が経過し,ここ何年間かの資格申請者の数は一桁台で推移しております。資格を取得したいという人を増やすためには,何よりも資格を持つことの利点を高める工夫が求められていると考えております。また,応用心理士の専門性を高めるための方策も必要でしょう。研修会のあり方も含めて,新しい「応用心理士」のあり方について検討していきたいと思っています。また,学会活性のための施策として,若手研究者の支援と院生会員の増員育成に力を入れたいと考えております。これまでも,院生会員の大会での発表には発表費を無料にする,大会でのワークショップ企画には補助金を出すなどの経済的支援を行い若手育成と大会活性を図ってきました。また,若手会員研究奨励賞についてもより利用しやすくなるよう全面的な見直しを行い,ますますの充実を図る予定です。
 最後に,機関誌『応用心理学研究』につきましては,2020年度,軽部前機関誌編集委員長が中心となってそれまでの「機関誌投稿・執筆規程」を全面的に改訂し,電子投稿システムに合わせた新たな「投稿・編集規程」,「執筆要領」,「投稿倫理規程」が制定されました。学会の最大の社会的使命はその機関誌を通じて優れた研究成果を広く公表することにあります。今期は時代に合わせて編集委員構成にも工夫を加え,新しい体制のもとに機関誌の質の向上を目指すことになりました。会員の皆様におかれましては,貴重な研究成果をふるって『応用心理学研究に』に投稿していただけますよう,心よりお願い申し上げて,ご挨拶とさせていただきます。