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6月, 2015:

さらなる飛躍した学会へ

理事長 藤田 主一(ふじた しゅいち)
日本体育大学

 日本応用心理学会会員の皆様には,各方面でご活躍のこととお慶び申し上げます。日ごろより本学会活動にご協力を賜り深く感謝申し上げます。さて,このたび役員選挙により,今期も理事長に選出されましたことは身に余る光栄に存じ,また身の引き締まる思いでございます。皆様のお力添えを賜りまして長い歴史と伝統を誇る本学会を引き継ぎ,さらなる発展を目指していきたいと思います。役員の皆様,会員の皆様には一層のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 日本応用心理学会はわが国の心理学界のなかでは日本心理学会とともに長い歴史を刻んでいる学会です。記録によりますと,昭和初期に関西と東京で応用心理学関連の研究会が会を重ね,関西では1927(昭和2)年4月に京都帝国大学において第1回の応用心理学会が開催され,東京では1931(昭和6)年6月に東京帝国大学で第1回の応用心理学会が開催されています。1934(昭和9)年4月に京都帝国大学で第1回の合同大会,1936(昭和11)年4月に広島文理科大学で第2回連合大会が開催され,第2回大会のときにはじめて「日本応用心理学会」という名称になりました。「応用心理学会」という学会名に「日本」が冠された最初ということになります。戦時による中断を経て,終戦後の復興第1回大会が日本大学で開催されたのは1946(昭和21)年3月のことでした。本学会は何と立ち上がりが早かったことでしょう。大会は1957(昭和32)年までは年に2回開かれ,1958(昭和33)年5月の大阪大学での第25回大会から年に1回の開催になり今日に至っています。
 本学会は「応用心理学」をキーワードに学問としての理論的研究ならびに社会的実践活動を両輪とする領域から組織され,本学会会員の皆様はそれぞれに社会の中枢で活躍しています。誠に頼もしい限りです。また本学会は,アカデミックな雰囲気に加えて会員相互の親和を大切にするという伝統があります。この伝統は他学会にはあまり見られない貴重なものですから,今後とも絶やすことなく継承していきたいと思います。一方でよく「基礎と応用」という言い方をしますが,心理学における基礎と応用は決して並列関係ではなく,また基礎を修得してから応用へ進むという二層構造でもなく,両者は互いに輻輳的な関係に位置づけられるものであろうと考えます。その意味で本学会は心理学の応用領域を網羅しておりますので,年次大会での研究発表やシンポジウム・ワークショップ,また本学会主催の公開シンポジウムなどに参加していただければ,基礎心理学と応用心理学とが互いに関係し合った最先端の研究・実践内容に触れることができます。これは他学会では果たし得ない本学会ならではの魅力であろうと思います。
 これからの本学会には長い歴史と伝統を継承しながら,さらに学会の活性化を目標に種々の改革に取り組んでいくことが求められます。この場を借りてそのなかから数点を取り上げます。第一の点ですが,このところ機関誌『応用心理学研究』への投稿論文数が激増しています。会員の皆様はご自身の研究成果や実践活動の成果を発表する場として機関誌へ投稿すると思われますので,2014年3月から従来の郵送による論文投稿を終了し,本格的に電子投稿システムを導入したことで審査システムを含め,会員の皆様のニーズに応えられる学会機関誌を目指していきたいと考えます。第二に「応用心理士」の専門性を一層高める取り組みです。現在,この資格を取得している会員は300名を超えています。「応用心理士」は,応用心理学の各領域に具体性をもつ資格として認知されなければなりません。そのため,より専門性に特化できる資格としてのあり方を検討していきます。研修会の充実などもその一端であろうと考えられます。第三は若手研究者の支援です。ここ数年,大学院生をはじめとする若手研究者の入会が大変増えています。若手研究者の入会は学会の活性化にもつながります。現在はそのひとつとして財政的な補助を行なっていますが,今後は財政的な面と並行して研究支援のあり方などを検討していくことが必要です。これらの諸点は,新体制においてすでに各委員会委員長を中心に活動を開始しています。またこれ以外にも広報活動,新規企画,国際交流などを含めいろいろな改革案,活性化案を具現化できるように進めているところです。加えて,年次大会80回を記念して日本応用心理学会編『現代社会と応用心理学』(全7巻)が順次刊行されております。
 以上,誠に僭越ではございますが理事長に就任いたしましたご挨拶に代えまして,過去・現在・未来を結ぶ本学会のあゆみと所信を申し述べさせていただきました。すべて会員の皆様にご支援を賜わらなければ一歩たりとも進むことができません。何とぞご協力くださいますよう幾重にもお願い申し上げます。

応用心理学のクロスロード 第7号

[表紙] [本文]
応用心理学のクロスロード 第7号 応用心理学のクロスロード 第7号

◆CONTENTS
[巻頭言]
応用心理学,私の歩みとこれからの課題  森下 高治

[特集]日本応用心理学会第81回大会報告
大会委員長からの報告 第81回大会を終えて  向井 希宏
参加院生からの報告
(1)応用心理学会に参加して  原田 麻衣
(2)吾,四十にして  近藤 和也
(3)This is my first experience  Khin Myo Htut

[特別企画]
鉄腕アトムはロボットの完成形なのか?   上出 寛子先生に聞く

[応用心理学 未来への展望]
職場のメンタルヘルス  越河 六郎
いま改めて,心理学の役割とは  林 潔

[ホープ登場 クロスロードの星]
(20)池原 有紀[帝塚山大学]
(21)上野 萌子[同志社大学]
(22)末瀬 慧[帝塚山大学]
(23)岩屋 裕美[東海大学]
(24)横山 ひとみ[東京農工大学]
(25)須賀 絵美[帝塚山大学]

[大学探訪]
研究室におじゃましました 山梨県立大学看護学部看護学科  松下 由美子

[職場探訪]
一般財団法人MOA健康科学センター
木村 友昭(主任研究員)
内田 誠也(主任研究員)
山岡 淳(顧問)

[CROSSROAD ESSAY 私と応用心理学](7)
私の心理学事始め  山岡 淳

[海外最新事情]
第28回国際応用心理学会パリ大会(ICAP2014)に参加して  松田 浩平
「ICAP2014」に参加して  森下雄輔
「アイキャップに行きました」  友野(油谷) 聡子
「ICAP@パリに参加して」  森泉 慎吾

[心理学から見たおすすめDVD紹介]
『ハープ&ドロシー アートの森の小さな巨人』
『ハープ&ドロシー2 ふたりからの贈りもの』  木村 友昭

[BOOK REVIEW 本を出しました]
伊波 和恵<他編>
『マネジメントの心理学  産業・組織心理学を働く人の視点で学ぶ
松浦 常夫   『統計データが語る交通事故防止のヒント』
深澤 伸幸   『ヒューマンエラーの心理学  エラー行動の理解と対策に向けて
楠本 恭久   『はじめて学ぶ スポーツ心理学12講』

[応用心理士の現場]
教育現場・地域社会のカウンセラーと非常勤講師としての道のり  木村 たき子

[常任理事会通信]
・機関誌編集委員会からのお知らせ
・2014年度日本応用心理学会学会賞について
・日本応用心理学会入会申込書(正会員用)
・日本応用心理学会認定「応用心理士」資格認定申請のご案内
・原稿募集
・編集後記


創刊号 第2号 第3号 第4号 第5号 第6号
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第7号 第8号 第9号 第10号 第11号 第12号
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第13号 第14号 第15号 第16号
第13号 第14号 第15号 第16号