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4月, 2003:

理事長に就任して

理事長 岡村 一成(おかむら かずなり)
東京富士大学 経営学部

 本学会では設立以来,理事長(会長)は大会当番機関の代表者(大会準備委員長)が,その任にあたって参りましたが,この度の会則改正で,理事長の任期は3年とし,常任理事の互選により選出されることになりました。この最初の理事長として私が選出されましたことは,身に余る光栄であるとともに,大変戸惑を感じている次第です。この重大な任務を全う致すには,役員の先生方はじめ,会員の皆様方のお力添えがなければ,到底成し遂げられるものではございません。ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 さて,伝統ある本学会の良さは,特定分野に偏らない,幅広い領域の研究者や実務家が家庭的雰囲気の中で,自由に議論し,交流が図られていることにあると思っております。私はこの良き伝統を引継ぎ,さらなる発展を目指したいと願っております。それには若手研究者が魅力を感じ,積極的に参加できる場(環境)が必要です。他学会で行われている良いところを見習いながら,本学会独自の若手研究者支援の施策を考え,推進していきたいと思っています。もちろん,核となる熟年会員の皆様方のご協力がなければ成り立ちません。よろしくご指導のほどお願い申し上げます。
 また,私は1995年から本学会の活動を活性化させるために導入された,認定「応用心理士」制度をもっと活用する必要があると考えております。私はこの制度の発足当初からかかわった関係で思いがあります。「応用心理士」の資格認定は,個人や集団の心理学的指導に努力している会員に,応用心理学の専門職としての資質があることを認め,社会的地位を承認するための一助とすることを目的に制定されたものです。同時に学会活動の活性化として,資格認定を目指し,年次大会の研究発表や機関誌への投稿論文の増加,研修会開催により会員のレベルアップなどを図る。また,認定料の収入を機関誌発行回数の増加,学会賞・奨励賞の創設,年次大会開催補助費の増額,若手研究者支援などに活用しようと考えられていました。現在222名の会員が「応用心理士」の認定を受けておりますが,社会的に承認されるためには,社会で活躍されている多くの会員が取得されることにあります。資格条件を満たしていながら,まだ「応用心理士」資格を取得されていない会員の皆様には,ぜひ取得していただきたくお願い申し上げる次第です。そして,応用心理士の認定料収入を若手研究者の支援や学会活性化のために,有効に活用していきたいと願っております。
 それから,昨年から日本応用心理学会倫理綱領の作成を精力的に進めていただいておりましたが,本年の大会で審議承認され,制定される運びとなりました。倫理綱領作成委員会発足時の田中昌人委員長,その後を引継ぎ,まとめて完成させてくださいました藤田主一委員長はじめ,ご尽力いただきました委員の先生方に心から御礼申し上げます。本学会会員は,応用心理学に関係するあらゆる分野のルールを遵守し,すべての人びとの基本的人権および尊厳を認め,諸活動の対象となる人びとの生命・人権・人種等を尊重し,もってわが国の文化・福祉・平和の向上発展に貢献しなければなりません(倫理綱領前文抜粋)。会員の皆様は制定されました「日本応用心理学会倫理綱領」を遵守され,研究者としての倫理観を高めてくださいますようお願いいたします。
 以上,理事長就任にあたり,考えの一端を述べ,ご挨拶に代えさせていただきます。